新たなる感動を求めて『デヴィット・ボウイ』
1992年2月、ティン・マシーン(シンプルなロックバンド)のメンバーの一員として来日した。撮影依頼された時はデヴィット・ボウイを撮るつもりで、バンドを撮影するという意識はなかった。失礼ながら僕の意識の中では、世界的なスーパースター、デヴィット・ボウイに比べようもないくらい他のメンバーは無名だったし、魅力があったとしても吹き飛んでいた。
ティン・マシーン5人の撮影はさっさと終わらせ、その流れのまま望遠レンズで彼だけ狙った。バンドとして撮影しているからデヴィット・ボウイ単体撮影は禁じられていた。が、こんなチャンスは二度と来ない。撮るしかね〜でしょ〜。集中!!1枚撮る。ぼんやりこっち見てる。2枚目、、ニヤッ、、笑ってくれた。すると彼はメンバー全員に聞こえるように「俺だけを撮るな。皆を撮れ。」と言った。僕は「このレンズはワイドレンズと言って、皆が撮れるレンズさ。」と言い返す。OKOK。納得してくれたようだ。
撮影終了後、彼は僕のところに来て囁いた。「この嘘つき」。そしてまたニヤッ。艶っぽい笑いを浮かべる男だった。